退院支援につながるおはなし。。。生きてきた背景を知ることって大事。
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救急病院で働いていると、いろいろな方が運ばれてきます。
大抵の病気は1~2週間で退院です。
急性期の病院は、長く入院できないのです。
症状が落ち着いてきたら、
相談の窓口の案内をしたり。
専門科の外来の予約を取って、案内したり。
面談するなかで、今後のことをお話したりします。
彼らは、明るく笑って見せます。
「大丈夫です。」と、言います。
その表情や口調から、言っても意味がないと感じていました。
なるほど。
正気な時に言わないと意味がない。
ある男性のお話。
50代。
飲酒による電解質異常から体が動かない状況で運ばれました。
1年ほど前から同じ症状で、ほかの病院に運ばれては短期間で退院。
何度か繰り返していました。
体はだんだんと弱り、1か月ほど前から寝たきり状態だったそうです。
下肢にピリピリと痛み動かせない、神経障害も出ていました。
入院当初は暴言がひどく、ろくでもない人というレッテルがべったりと貼られてしまいました。
病院は、サービス業。患者様はお客様。。分かっていますよ?
でも、やっぱり人間です。。(*´艸`)
だからと言って、普通に。
ケアはしなければ。
問題は、この寝たきりの彼を、どう家に帰すか。
難問です。
お金は限られているので、転院も施設も無理でした。
幸い??既往に糖尿病があったので、「糖尿病性神経障害」の病名で介護保険要介護認定の申請をすることにしました。
とても体が弱っていて。
体の調子が整うまで、およそ1か月かかりました。
(いくら早くと言っても治らないと退院できません。。"(-""-)")
その間に、彼の元同僚という方が現れ、彼を支援したいと。
とてもありがたい存在でした。
以前の職場でとてもお世話になったのだとか。
自分が困ったとき、そんな他人がいるだろうか。
お酒に負ける前の彼は、とても頼れる上司だったことが分かりました。
彼に本来の自分を思い出してもらえるよう言葉をかけました。
元同僚の方の存在のおかげで、彼もがんばろうという気持ちに変わり。
彼に貼られたレッテルは徐々に減ったのでした。
要介護認定の結果。。要介護5。
担当のケアマネジャーが決まり、在宅でのサポート体制が整い、彼は退院しました。
彼の場合。
入院期間が長くなったことで、正気に戻ることができ、現実を受け止められた。
元同僚の方のおかげで、本来の彼はとても真面目に生きた方であることが分かった。
元同僚の方の支援のおかげで、彼はまたスタートラインに立つことができた。
わたしの仕事は、急性期病院の退院支援看護師です。
正気にならないと言葉が届かないけれど。。。
正気になったときに、わたしではない誰かが、彼らを支援してくれるように。
使えるサービス、使える制度、彼らを支援してくれる方へ。
つなぐことが仕事だと思っています。
入院前の状況や、本来の姿、生きてきた背景。。
それらはすべて、今入院している姿の彼らにつながっている。
だからその情報を、病棟やリハビリ、その他のスタッフにつなぐ。
病気をして、一瞬、道を外れてしまっても。
治療して、元気になって。
また、彼らが望む人生に戻れるように。
よし。
明日からも。。。つなぐぞ~。